マイクロスコープでの精密診断と治療
マイクロスコープによる精密歯科診断、及び精密歯科治療を行うことで、 「今ある歯を守るために必要な治療」を行います。 マイクロスコープで行った精密診断・治療に対しMTA覆髄で「今ある歯の保存」をします。 全ては「歯の未来」のための治療です。 また、医師の「技術」や「診断」が、重要な治療でもあります。
歯冠修復の精度を向上させるメリット
これまでの歯科治療よりも一歩前に進み、歯冠修復の精度を向上させることで「歯の予後(保存できる)」は、格段に向上します。 マイクロスコープ(手術用顕微鏡)やMTAを用いた虫歯治療は、単なる「虫歯の除去」ではなく、「歯の未来を見据え治療する」ということです。下記にある歯の治療状況の統計でも、歯冠修復に注力をすることが重要か、ご理解いただけます。
歯の予後統計 | |
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根治・歯管修復両者とも不良な場合 | 18% |
根治は良好だが歯冠修復が不良な場合 | 44% |
根治は不良だが歯冠修復は良好な場合 | 68% |
根治・歯冠修復両者とも良好な場合 | 91% |
歯科治療の流れ
※1 確定的外科処置、とは歯周病の再発を防ぎメンテナンスしやすい歯周環境を作ることを目的とした外科処置のことです。起炎性因子の除去を目的とした初期に行うものとは分けて考えます。
※2 補綴治療とは、主に歯が無くなった方々に対して、その歯の代わりをする人工の歯を作って入れる(噛めるように補う)治療の事を指します。治療内容は、「部分入れ歯」の治療や「総入れ歯」の治療、歯が1本無い所や飛び飛びに無い所に対して残りの歯に被せる形でつないで橋渡しをする治療法(ブリッジ補綴治療)などですが、最近は、「インプラント治療」(人工歯根の上部構造製作)も補綴治療の分野として考えます。(厳密には、歯周外科補綴治療として、口腔外科・歯周病科・補綴科にまたがる総合的な分野)さらには、歯冠(歯の頭の部分)が虫歯などで崩壊して噛めなくなった歯に対して、残りの歯(歯の根)に人工の歯をかぶせて元の形に回復して、噛めるようにする事も補綴治療の範囲です。
マイクロスコープとは
手術用の顕微鏡のことです。 肉眼より25倍に拡大した視野で治療が行えるため、より精度の高い治療を患者さまに提供することができます。
マイクロスコープを使うメリット
精密な治療が行えるため、虫歯になった部分のみを削り取ることが可能です。 これにより、余分な歯を削ることなく治療が行えます。また、詰め物についても、わずかな段差もチェックできるため、精度の高い修復が可能となります。 そして根管治療(根の中の治療)については、非常に複雑で細かい治療にもかかわらず、従来は、医師の手先の感覚に頼り治療を未だ多くのクリニック行っているのが現状です。
当院ではマイクロスコープにより、根管内を直接見ながら治療できるため高いレベルの治療が可能です。要するに「深い虫歯の治療でも神経を痛めることなく最小で、かつ虫歯の取り残しのない治療ができる。」のです。 正確な治療が、その後の虫歯再発予防に対しても大変重要となるという訳です。
歯髄保存治療
歯髄は、歯の最も内部にある神経や血管がある部分で、歯に加わる様々な刺激を感知して虫歯などから歯を守る機能があります。 歯髄は、感覚機能だけでなく、防御壁となる第二象牙質(デンチンブリッジ)の形成や、虫歯菌に抵抗する免疫細胞などの防御機能があります。 「歯髄を守る」、「歯の神経を残す」理由としては、歯髄の有無が歯の寿命に大きくかかわるからです。
歯を失う原因には、歯周病や虫歯、外傷などもありますが、最多の原因は、歯根破折であり、喪失歯の約6割を占めるといわれています。 この歯根破折を生じた歯のほとんどは神経のない歯(失活歯)であり、過去に虫歯などが原因で神経を取る処置(抜髄処置)がされています。抜髄処置や根管治療をされた失活歯は、歯質が健全歯と比べて大きく失われているため、歯根破折のリスクが高く、相対的に歯を失うリスクも高くなります。
また、歯を失う2番目の原因である歯の根の病気(根尖病巣/根尖性歯周炎)も、抜髄処置や根管治療をされた失活歯で生じる問題です。1番目の原因である歯根破折と合わせると、喪失歯の7割以上が神経のない歯であり、歯を失わないためには歯髄を守ることが重要であるといえます。
MTA覆髄治療(神経を守る治療)
歯髄近くまで進行した重度の虫歯では、刺激により歯髄が炎症を起こしやすいため、歯髄を保護する処置(覆髄処置/覆罩処置)が必要になります。
特に虫歯の除去時に神経(歯髄)が露出した場合は、通常、水酸化カルシウムによる直接覆髄法により歯髄の保護・温存を試みますが、成功率はそれほど高くないため結果的に神経を取る処置(抜髄処置)が必要になることも多くありました。
MTA覆髄治療(歯髄保存治療)は、ケイ酸カルシウムを主成分としたMTAによる覆髄治療であり、従来の水酸化カルシウムセメントによる治療と比べて、高い確率で神経を残すこと(歯髄保存)ができます。
スコープによる拡大精密治療
MTA覆髄治療では、最適な覆髄材を使用するだけでなく、虫歯の除去方法などの治療過程がとても重要になります。 歯髄に近接した深い虫歯の治療となるため、歯髄に刺激を与えないように虫歯を取り除いていくことが必要になります。 当院では、一般的な高速ドリル(タービン)だけではなく、歯髄に近接する部位では低速ドリルや手用器具(エキスカベータ―)などを使い、虫歯を少しずつ慎重に取り除いていきます。治療前に確実な麻酔を行いますので、痛みが苦手な方もご安心下さい。
また健全歯質は削らずに虫歯だけを確実に取り除くために、拡大スコープや専用ライトを使用して、う蝕検知液で虫歯だけを染めて除去します。ラバーダム防湿で治療部位を隔離して、露出した歯髄の感染を防止し、MTAによる適切な覆髄処置(歯髄保存治療)を行います。 「神経を守る」「神経を残す」MTA覆髄治療は、非感染歯髄であるなど適応症が限られているものの、歯の寿命を延ばすことのできる「MI治療」(最小限の侵襲治療:ミニマル・インターベンション)といえます。
MTAとは
MTAセメントは、1993年に米国ロマリンダ大学のDr.Mahmoud Torabinejadらにより、根管穿孔部位を封鎖する材料として開発され、1998年以降に欧米各国で、2007年に日本で発売が開始されて以来、多数の症例に使用されて高い臨床評価が得られています。
ケイ酸カルシウムを主成分とするMTA(Mineral Trioxide Aggregate)は、生体親和性や封鎖性、石灰化促進作用、デンティンブリッジ形成能、細胞反応活性化促進作用、抗菌性に優れた革新的な材料です。 当院のMTA覆髄治療では、複数の材料を症例に合わせて選択しています。
MTA覆髄治療の特長とメリット
歯髄を保存できる可能性がある
MTAによる覆髄処置により、通常であれば神経を取るケースでも神経を残せる可能性があります。
歯の切削を最小限に抑えることができる
抜髄処置(根管治療)を回避できることにより、歯を削る量を最小限に抑えることができます。
歯の寿命が延びる可能性がある
歯髄の保存により、歯の主要な喪失原因である失活歯の歯根破折や根尖病巣を回避し、歯の寿命を延ばせる可能性があります。
生涯でかかる治療費用を抑制できる
失活歯では、経年的に根尖病巣の出現による再根管治療や被せ物の再製作が必要になることも多く、また、歯根破折等に起因する抜歯により、ブリッジやインプラント、義歯などの新たな治療が必要になる場合もあります。MTAにより歯髄保存が可能であれば、生涯にわたり発生する可能性のあるこれらの治療費用を抑制することができます。
MTA覆髄治療の注意点とデメリット
適応症が限られます
MTAによる覆髄処置は、非感染生活歯髄の状態であるC2が適応症です。
C2治療
何もしなくても「ズキズキ痛む」症状や「温かいものを飲食した際に痛む」状態などの炎症歯髄、感染歯髄の状態であるC3は、非適応症となります。
C2治療詳細はこちら
C3治療
但し、冷たいものを飲食した際に、少ししみる虫歯は適応症となる可能性がありますが、MTA治療の可否は虫歯の状態を直接確認して判断する必要があります。
C3治療詳細はこちら
歯髄を保存できない場合があります
MTAによる覆髄処置は、従来の歯科治療より高い確率で歯髄を保存できる治療法ですが、歯の状態によっては、歯髄保存治療後に歯髄の炎症等により抜髄処置が必要になる場合があります。 MTA治療予後は、患者様の症状により診断時や治療時の歯の状態確認後、より詳しくご説明します。
治療直後に歯がしみる場合があります
MTA覆髄治療の直後は、虫歯除去時の刺激や覆髄処置の刺激により、一時的に歯が過敏になり、冷たいものを飲食した際に痛みを感じる場合があります。 歯髄の回復に伴い、通常これらの症状は軽減し、痛みを感じなくなります。
医師の技術や診断が重要です
担当医師の診断や虫歯の除去方法が治療結果に大きく影響します。
保険適用外の治療です
MTA覆髄治療(歯髄保存治療)は、一部保険適応ですが、基本的に保険適用外の治療です。
スコープによる拡大精密治療
MTA覆髄治療では、最適な覆髄材を使用するだけでなく、虫歯の除去方法などの治療過程がとても重要になります。 歯髄に近接した深い虫歯の治療となるため、歯髄に刺激を与えないように虫歯を取り除いていくことが必要になります。 当院では、一般的な高速ドリル(タービン)だけではなく、歯髄に近接する部位では低速ドリルや手用器具(エキスカベータ―)などを使い、虫歯を少しずつ慎重に取り除いていきます。治療前に確実な麻酔を行いますので、痛みが苦手な方もご安心下さい。
また、健全歯質は削らずに虫歯だけを確実に取り除くために、拡大スコープや専用ライトを使用して、う蝕検知液で虫歯だけを染めて除去します。ラバーダム防湿で治療部位を隔離して、露出した歯髄の感染を防止し、MTAによる適切な覆髄処置(歯髄保存治療)を行います。 「神経を守る」「神経を残す」MTA覆髄治療は、非感染歯髄であるなど適応症が限られているものの、歯の寿命を延ばすことのできる「MI治療」(最小限の侵襲治療:ミニマル・インターベンション)といえます。